雨の遮断
何気なく 通りすがりの 君の後ろ姿を見ていたら
初めて会った君なのに
急に僕に振り向いて
僕の方へ歩いてくる
その時見せた笑顔と瞳
長い髪をなびかせて
にこやかな えくぼとまつげを投げ掛けて
何かを語りかけてくるように
一歩一歩近づいて
僕との距離が縮まって
僕は困惑しながら見つめていた
突然振りだした通り雨
雨が急に降ってきて
雨の音がパラパラと
君は横を向いて目をそらし
身体の向きを変えて 歩道を出て
片手を上げてタクシー拾い
ひとりですばやく乗っていく
取り残された歩道のベンチ
君のファッション スタイルが
僕の心に残っている
けれども君の姿はもう見えなくて
雨がふたりの間を切り裂いて
言葉も交わさず別れたふたり